Vintage Shop Rococo オーナーのYUMIです♪
本日は、GUCCIを初めて日本に持ち込んだ、(株)サンモトヤマについてお話します。
オールドグッチファンなら、ぜひ知っておいて頂きたい、素晴らしい会社ですよ!
銀座並木通りの「サン・モトヤマ(SUN MOTOYAMA)」

サンモトヤマは、銀座がもっとも賑わい 輝きを見せた1960年代頃、日本で初のGUCCI総代理店となった、セレクトショップの元祖的な存在です。
私と同世代の方はよくご存知ですよね!(年齢がバレますが・・1964年生まれのバブル世代です。笑)
お洒落に敏感な人々は、サンモトヤマのショーウインドウを見て、まだ見ぬブランドに出会うことを楽しみにしていたのです。
若い方は驚かれるかもしれませんが、当時はGUCCIもHERMESもLOEWEも、日本ではここでしか買えなかったんですよ!笑

デパートの中にブティックはありませんし、オンラインショップだってありません。
今の時代では考えられませんが、日本ではGUCCIもHERMESもまだまだ知名度は無かったのです。
創業者、茂登山 長市郎社長

確かな審美眼で素晴らしいブランドを発見し、日本にいち早く紹介した凄い方です。
サンモトヤマの公式HP内、茂登山長市郎のエピソードより抜粋↓
ヨーロッパの歴史と伝統を肌で感じる。
本物を見極めるとはどういうことか。
隠れた美を見抜くにはどうしたらいいか。
長きに渡り、数々の名品を探し出してきた茂登山は、
その極意を「ブランド名や作家名、付けられた金額に左右されないことだ」と言う。
知識や常識にとらわれず、先入観を持たず、物をよく見つめる。
時として触ってみる。着てみる。
そして最後は自らの直感を信じること。
今はまだ名のないものの中にも、美しいものは多く存在する。
茂登山社長は、日本にはない文化の粋である美しい“革”製品を売りたいと思い、
イタリアでは「GUCCI」、フランスでは「HERMES」、スペインでは「LOEWE」に的を絞ります。
ですが歴史のある老舗ブランドとの契約は簡単では無かったそうで・・
販売権を得るまでに、相当な信頼関係を築いたそうです。
GUCCIとサンモトヤマ
1959年、茂登山社長が最初のヨーロッパ旅行で訪れたイタリアのフィレンツェで、商人の勘で立ち寄ったのが、GUCCIとの出会い。
猟銃の革ケースや赤と緑のストライプが入ったキャンバス地のハンドバッグ。こんな素晴らしい商品は見たこともない、自分が客だったら絶対に買う、正式に仕入れて日本に広めよう、と心に誓ったそうです。
その後、何度もフィレンツェを訪れ交渉するも、GUCCIは相手にしてくれません。
そしてフィレンツェのGUCCI本店に4度目の訪欧をした1962年、初めてバスコ・グッチ氏に出会います。

案内された店内でショーケースから取り出された、銀のシガレットケース。
茂登山社長は指紋がつかないよう、とっさにポケットチーフで受け取りました。
高級品の扱いを心得たその行為を機に、念願の「GUCCI」との長期にわたる独占販売権を獲得することに繋がりました。(素敵なお話ですよね・・❤︎)

今では貴重となった、サンモトヤマがGUCCIを独占販売していた頃の
ミニ冊子の中には、こんな事が書いてあります・・↓

グッチ社は ヨーロッパで数少ない老舗の一つです。永い伝統をもった格調高いブティックとして パリのエルメス社に匹敵する 唯一のものといえます。
18世紀の初頭にイタリア ルネッサンス発祥の地フローレンス(フィレンツエ)に誕生し 当時の王侯 貴族の馬具 狩猟の道具鞄 あるいは狩猟用の衣服などを製造していました。かつてのイタリア王室を始め ギリシャ皇帝 モナコ国王などヨーロッパの貴族が好んで愛用しており ヨーロッパの皮革製品のコンテストに度々入賞し、イタリアの皇帝から勲章も授けられています。
グッチ社の皮革製品のデザインとその特徴は一見素朴でラフな感じですが、実は優美で繊細な神経が細工の隅々に行き渡っています。何十年もの経験を経て熟練した職人が丹精をこめて作り上げたものがグッチの一つ一つの商品です。
例えば ステッチは全て手縫いで 金具類も手造りで仕上げられています。あくまでも控えめで その飾り気のないさりげないセンスがかえって深い味わいを与えています。
グッチ社では皮革製品は勿論のこと ブティックとしての内容を深めることに努力しており 婦人物ではコート スーツ ワンピース スカート 靴 金・銀のブレスレッドなど また紳士靴のデザインもネクタイのデザインも豊富になり さらに新しい製品がどんどん開発されております。日本に置いてグッチ社の製品はサン・モトヤマが唯一の販売を行っております
サンモトヤマのGUCCI製品に付属していた小冊子より
このように、「GUCCI」について丁寧に説明して、誇りを持って販売していたのです!
そして、瞬く間にGUCCIは日本でもトップブランドに。
その後、GUCCI以外にもエルメスやロエベなどの高級ブランドの販売権も獲得します。
惜しくも全盛期は続かず・・閉店へ
富裕層から絶大な支持を得ていたサンモトヤマですが、時代は一変。
80年代以降になると、サンモトヤマが日本に紹介し、根付かせた数々のブランドは相次ぎ日本法人を設立し、日本に直接進出しました。
(GUCCIの独占販売権の契約は1990年に終了)

当時からの顧客は高齢化が進み、扱い商品は時代のラインナップから外れていきます…。
そして、2019年10月1日 サンモトヤマは自己破産を発表。
サンモトヤマの伝説を受け継いで・・
先入観や常識にとらわれず、自分の直感を信じたサンモトヤマ。
サンモトヤマがGUCCIを発見してくれたから、
日本人がGUCCIを知るきっかけになりました。
そして、サンモトヤマがGUCCIに何度も交渉してくれたから、
日本でGUCCIを手にすることが出来ました。
サンモトヤマがGUCCIを独占販売していたのが、1962~1990年のことですから、
オールドグッチと呼ばれている時代のお品物です。
GGモノグラムにシェリーラインの組み合わせが可愛い、大人気のこちらのシリーズも↓
Rococoにあるオールドグッチも、サンモトヤマから流れてきたGUCCIが多いかもしれません。
素晴らしい異国の文化を紹介してくれたサンモトヤマに、心からお礼を言いたいですね(^ ^)
今は世界中のブランドが日本に直接進出しています。でも巨大資本による戦略が先立ち過ぎて、品質を維持するための誇りが失われかけている。量やブランド名より、個性と質と美がある物を初心に戻って本気で売ることが今後は必要。その意味で商売については、戦争直後のような時代がまた来るんじゃないかという気もします。
サンモトヤマ会長・茂登山長市郎のインタビューより
私も同じ販売業として、茂登山社長から影響を受けたものは数多くあります。
オールドグッチをはじめ、ヴィンテージとしてこの世に残っている素晴らしいアイテムたち。
これからも誇りを持って、皆様にその良さをお伝えしていきたいです。